個人情報の取扱い
埼玉県精神科事例検討会の実施における個人情報の取扱いガイドライン Ver1.01
1. ガイドライン策定の目的
本ガイドラインは、埼玉県精神科事例検討会(以下、当会)において、参加者および主催者が知り得た個人情報の取扱いに関する基本的な考え方を示すものである。
本ガイドラインの目的は、当会における個人情報に関する責務を明示し、事例の作成、提出、保管、破棄などに関するルールを定め、明らかにすることである。
2. 個人情報保護への基本的方針
医療者は正当な事由なく業務上知り得た個人情報を漏らしてはならず、職業を辞した後も同様の義務を負う。また、業務上知り得た個人情報の収集・保管・破棄に関して適正に取扱う責務を担っている。
さらに2005年4月1日より施行された個人情報保護法では、われわれは個人情報取扱事業者としての自覚を持ち、個人情報の利用目的を出来る限り特定し、利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならないことが明記されている。
こうした責務は当会の主催者および参加者においても同様である。当会では個人情報保護の重要性に鑑み、法令を遵守し、この指針に則って個人情報の取扱いを適正に行う。
3. 当会の目的
当会は埼玉県精神科アウトリーチ研究会の事業の一環として、埼玉県アウトリーチ研究会を事務局とし、以下の目的で行われる。
①事例検討を通じて、参加者同士でともに語り合うことで、日々の実践に活用できるような学びを得ること。
②関係者同士が新たな繋がりを得ることで、埼玉県における精神看護・精神地域ケアにおける連携強化に寄与すること。
③新たな繋がりや学びを得ることで参加者がエンパワーメントされること。
4. 事例検討における個人情報保護のための留意事項
■事例検討会に参加する専門職は、それぞれの専門職の職能団体が明示している倫理綱領をふまえ、個人のプライバシーに十分配慮すること。
■事例検討会に事例を提供する際の、事例提供の目的を明確にすること。
■事例検討会に事例を提供する時には、事前に管理者の了解を得ること。
■事例対象者本人・家族に対しては了解を得ること。その際、書面で了解を得ることが望ましいが、口頭で了解を得た場合については、ケース記録等にその旨を記入すること。
※但し、本人の死亡・過去の終了ケースなど、実際には了解を得る事が難しいケースである場合は、管理者の了解を得たケースについてはその限りではない。また、記録等にその旨を記入すること。
■会場で資料を配布する際、事例検討会終了後に、事例検討会主催者が回収し自機関に持ち帰り、廃棄する。また、オンラインで開催する場合、資料をデータ配信すると回収できないため、データ配信せず、当日オンライン研修の画面上で共有する形で実施する。
■資料に事例検討に直接関係ない事項については記載しないこと。
■事例検討会終了後、参加者はその内容を口外しないこと。
5. 事例作成時の記入方法について
事例の資料作成に当たっては、以下の事項を遵守する。
なお、事例提供者は自身の作成した資料が以下の事項を遵守しているかセルフチェックリストを用いて確認する。さらに当会は提出された資料がガイドラインを遵守しているか監査する。個人情報保護が不十分であった場合は事例提供者へフィードバックを行い、事例提供者は修正を行った上で再提出する。
① 氏名、ID
対象者の姓名に関わらず、「A氏」「B氏」など意味の無いアルファベットで示す 。
「Y.K.氏」など個人を特定しやすいイニシャルは用いない。
病院や会社の個人識別IDは記載しない。
② 病名・既往歴
病名や既往歴は、臨床経過を知る上で重要であるため事例検討に必要なものを記載する。ただし、特に症例数が少ない疾患などの場合には、個人が特定できないよう記載事項に配慮したうえで記載する。
③ 年齢
具体的な年齢や生年月日は記載せず、「60 歳代前半」などとする。
ただし、年齢が重要な意味をもつ場合は事務局に相談する。
④ 日付
たとえば2023年1月はX-1 年 1 月等とし、具体的な年月日を記載しない。
経過は「入院(関わり)〇日目」、「〇年前に診断される」等と記載する。
⑤ 居住地など
具体的な住所、市町村名や地名は記載しない。
⑥ 職業など
「農業」「漁業」「会社員」「福祉関係」など抽象化して記載する。
⑦ 家族や友人
家族や友人の個人情報も本人と同様に取り扱う
⑧ ゲノム、DNAなどの情報
記載しない。
⑨ 具体的な機関名、施設名、病院、病棟名、病室名、その他個人の特定につながる情報
記載しない。
⑩ 各種手帳、保険等制度
手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳)、保険等の制度などについては事例検討に必要な際にのみ記入する。